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いわゆる士(サムライ)業に思う

弁護士、公認会計士、税理士、司法書士、不動産鑑定士、弁理士、などなど、資格を伴う仕事を俗称、サムライ業という。

かつては羨望の職種であり、資格をとれば一生安泰と思われていた。

悪意を持って言えば、これらは事務手続きの不透明さと煩雑さに伴い成立する仕事であった。

今でも思うが、日本の税制は驚くほど複雑で特例が多く、一般の人が理解できないように作られている。

まるで、それに携わる人の雇用を守らんがために。


それでも、大変遅れながらも、e-TAXという国税のシステムを使えば、だれでも確定申告、青色申告くらいできるようになった。会計ソフトがこれを後押ししている。あとは経費などの加減の問題で、これは税務当局がほぼ一方的に定義できるので、その塩梅を知るために税理士が必要になる。

弁護士も大手の事務所に入れなかった者は悲惨だ。法テラスでカネになりそうな事案を奪い合う姿に悲しくなる。法曹の資格をとっても、具体的な事案を経験して職業教育を受けないと、職業人として成立しないということだ。

なお、こうしたサムライ業の方々は、協会に多額の会費を納めることが強要されている。

例えば弁護士会への登録は弁護士活動をするうえで必要条件。

一種のカルテル行為にも見えるが、これが法曹の質を確保するために必要、と今でも言い返せるのだろうか。


米国は自由参入と市場による淘汰をモットーとした社会なので、ドラマや映画には、仕事のない、あるいはカネが全てで倫理に欠けた悪玉のサムライ業の人たちがよく登場する。

日本がそこまでの社会に一直線に進むかはわからない。しかし、これらの仕事の地位が低下してきていることは、IT、AI技術により、手続きや前例踏襲型の作業が合理化されてきたことを示している。

長い目でみると、資格がないとできない書類仕事というのは減っていくだろうし、付加サービスがなければ生き残れない過酷な職業となるだろう。

高利貸しの過払い請求に続く、柳の下の二匹目のどじょうを探して、コンサルティングや相続対応などに進出してきてはいるが、実に玉石混交というのが正直な感想。それは資格と全く無関係の能力なのだから。



<文・金融、経営管理アドバイザー 博雅>

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