研修部門は社内主流になれるか

最終更新: 2020年7月21日

先日、若き友人が嬉しそうに新しい名刺をくれた。当人は社内の営業職向けの研修主任であったが、今般、そのステータスが社内的に上がり、自身も営業職から総合職に格上げされた。

「研修受講生が自分のように研修主任になりたい、と言ってくれた」と大変喜んでいた。

中央集権的な人材管理体制をとる多くの日本企業においては、人事部門では人事課長がエリートコースである。

役員や一部上級管理職を除く、全社の人材資源の配分を一手に任されているのだから。

それと比べて研修部署のステータスは低い。研修の成果による結果は、受講者が各事業部門で示すものであり、それは受講者の自己責任である。人材をどんなに磨き上げても、その成果は受講者のもの。

逆に成長できなくても、研修部門の責任は問われない。

よって研修自体をコストセンターと考え、外部化する企業も多い。

冒頭で紹介した企業は、研修主任とその研修受講生チームに営業のノルマを与えたそうである。

もちろん、事業本部のような厳しいものではないようだが、人材育成部署はコストセンターではない、というメッセージを強く打ち出したようだ。

研修受講生たちも研修主任もこれを前向きに受け止めたのが冒頭の発言。

実際の営業現場に付き添うことになった研修主任は、OJTを通じてメンターとしての役割もかなり任されているといえる。

この手法の成否は、会社がチームに与えたノルマをうまく管理できるか、成功した研修主任を上手く処遇できるか、という微妙なバラランスの取り方にかかっている。

簡単ではないと思うが、採用においても優位性を示すことに繋がり、社内OJTにおける新たな挑戦として注目したい。

<文・金融、経営管理アドバイザー 博雅>